10日 原油は小動き、売り買い拮抗で
11時15分現在、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油相場(7月限)は先週末終値と比べ15セント高の75.68ドル/バレル、インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント原油相場(8月限)は同17セント高の79.79ドル/バレルと、いずれも小幅上昇。
10日アジア時間午前の原油相場は小動き。エネルギー・金属鉱物資源機構の野神隆之首席エコノミストによると、上げ下げの要因が拮抗し、どっちつかずの状況下であるという。上値の重石として、中国税関総署が7日に発表した5月の原油輸入によると、前年同月比8.7%下回った。「世界第2位の石油消費国である中国の輸入落ち込みは、市場へのインパクトが強い」と指摘する。
加えて、7日発表された米雇用統計で非農業部門雇用者数が27万2,000人増と、予想外の伸びも重石として作用したという。この数字から、米国の景気回復基調、加えて賃金上昇の加速も読み取れるとし、「金利の引き下げは遠のくとの予想が強まる」と続けた。
一方、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」が2日に決定した自主減産の規模縮小方針に対し、サウジアラビアのエネルギー相は6日、「縮小方針を一時的に停止、または撤回することも可能」と発言し、市場を牽制。これにより、原油の需給は想定以上に緩まないとの見方も強まり、相場を下支えする要因となったという。
今後の見通しとして野神氏は「日本時間の11日に開催される、米連邦公開市場委員会(FOMC)でのパウエル議長の発言に注目」と見方を示した。米国の金利政策の方向性を読み解くうえで、重要なものとなるという。
日経平均株価は先週末比188円26銭高の3万8,872円19銭で推移している。ドル円相場は1ドル=156.88円と、先週末の午後5時時点(155.42円)と比べドル高・円安方向に振れている。
◎リムエネルギー総合指数22種(レックス22、2010年平均=100): 177.20 (↑0.81)