11日 原油は小幅続伸、中東情勢の緊迫化で底堅く

11時15分現在、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油相場(5月限)は前日終値と比べ14セント高の86.35ドル/バレル、インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント原油相場(6月限)は同18セント高の90.66ドル/バレルと、いずれも小幅続伸している。

11日アジア時間午前の原油相場は強含み。緊迫化する中東情勢が下値を支えている。シリアのイラン大使館がイスラエルによるとみられる攻撃を受け、イランはイスラエルへ報復する考えを示している。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストは、「イランがイスラエル領内に報復攻撃を仕掛けた場合、報復の応酬となり収集がつかなくなる可能性がある」と指摘。イラン革命防衛隊が原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖することも示唆しており、供給不安が浮上している。

また、野神氏は日本時間11日夜に発表される石油輸出国機構(OPEC)の月報についても言及。先月の月報と同様に、2024年の石油需要が前年比で日量225万バレル増加するとの見通しを示すとみられる。

一方で、弱材料も散見され、原油相場の上昇は限定的。10日に発表された米国原油在庫が前週比で584万バレル増となり、市場予想を大きく上回る増加幅となった。ガソリンや灯油および軽油在庫も積み上がり、足元の原油と石油製品に需給緩和感が広がった。10日に発表された米国の3月消費者物価指数(CPI)が上昇し、米国の利下げ開始時期が後ろ倒しになるとの観測が強まった点も、リスク資産である原油の上値を抑えている。

野神氏は「市場は方向感をつかみあぐねている。ただし、中東情勢を考慮すると原油相場は底堅い展開になりやすい」と述べた。

日経平均株価は前日比234円18銭安の3万9,347円63銭で推移している。ドル円相場は1ドル=152.80円と、前日の17時時点(151.85円)と比べドル高・円安方向に振れている。

◎リムエネルギー総合指数22種(レックス22、2010年平均=100):180.56 (↓0.68)