29日 原油は続伸、イスラエル情勢の悪化で

 11時15分現在、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油相場(7月限)は前日終値と比べ29セント高の80.12ドル/バレル、インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント原油相場(7月限)は同19セント高の84.41ドル/バレルと、いずれも続伸している。
 アジア時間29日午前の原油相場は小幅続伸。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「足元では中東の地政学リスクが意識されている」と指摘した。28日にはイスラエル軍がパレスチナ自治区のラファ中心部へ到達。またイスラエル軍とエジプト軍の衝突やラファへの誤爆など「イスラエル情勢は悪化しており、原油相場の上げ材料となっている」という。
 さらに市場関係者の間では、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」が現行の減産規模を維持するとの観測が広がっている。米国のドライブシーズンが始まり石油製品の需要増加が見込まれるなか、OPECプラスの減産により需給が引き締まるとの期待感が原油先物に上昇圧力を加えている。上野氏は6月2日のOPECプラスの会合について「減産を維持する期間が3カ月間なのか、半年なのかに注目している」と述べた。
 一方、米国の利下げ開始に暗雲が漂っていることが相場の重荷だ。ミネアポリス連邦銀行のカシュカリ総裁は28日、「追加利上げの可能性は完全に排除してはいない」と発言。米国の利下げ開始観測の後退が意識され、上値の重さに繋がっている。
 日経平均株価は前日比97円5銭安の3万8,758円32銭で推移している。ドル円相場は1ドル=157.23円と、前日の17時時点(156.89円)と比べドル高・円安方向に振れている。

◎リムエネルギー総合指数22種(レックス22、2010年平均=100):183.22 (↑1.64)