1日 原油は上昇、中国の需要増の観測と地政学リスクが牽引
11時15分現在、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油相場(5月限)は3月28日終値と比べ29セント高の83.46ドル/バレル、インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント原油相場(6月限)は同24セント高の87.24ドル/バレルと、いずれも上昇している。
1日アジア時間午前の原油相場は強含み。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストによると、中国の原油需要が増加するとの観測や継続する地政学的リスクが相場に上方圧力を加えている。中国国家統計局が3月31日に発表した同月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.8となり、2023年9月ぶりに50ポイントを上回った。市場では50ポイントを割り込むと予想されていた。また、非製造業PMIは53.0と、24年2月の51.4から上昇した。中国経済が回復し、原油需要も増加するとの見方が強まった。
地政学的リスクもくすぶっている。イスラエルがハマスへの攻撃を継続し、休戦の目処が立っていない。このためイエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海周辺を航行する船舶へ攻撃を続けるとみられ、同海域を介した原油や石油製品の流通が引き続き滞りそうだ。野神氏は「中東から欧米への原油の流れが悪くなることで、相対的に西洋圏の原油相場が高くなりやすい」とした。
一部メディアが先週末、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアの製油所への攻撃を続ける方針と報道したことも材料視されているようだ。
ただ「原油相場はもたついている」と野神氏は指摘。欧米の祝日前28日、WTIは83.17ドルと、27日比1.82ドル高で終えた。野神氏によると、3連休を前に地政学的リスクが意識され、市場参加者が買い持ちして週末を過ごそうとしたようだ。ただ、週末に中東やロシア・ウクライナ情勢で大きな動きが見られず、利益確定売りが入っているという。
日経平均株価は先週末比515円76銭安の3万9,853円68銭で推移している。ドル円相場は1ドル=151.26円と、同17時時点(151.34円)と比べドル安・円高方向に振れている。
◎リムエネルギー総合指数22種(レックス22、2010年平均=100):176.20(↓0.13)